妻曰く

プロジェクトマネージャーの妻による育児対応を巡る夫の記録

授乳量は定量把握 我が家の「データドリブン育児」

妻に「職場で子育てのこととか話題になる?」と聞いたところ、妻が最近職場で「データドリブン育児」に取り組む人として少し話題になったことがわかった。響きが格好いい表現なので早速使ってみたい。今回はデータを定量的に集め、それに基づいて判断、行動している例として、息子の授乳量の定量的把握について振り返ろうと思う。

授乳量は発達の要素

赤ちゃんが飲んだミルクor母乳の量がどう推移しているのか。これは子どもの状態を見る上で重要なデータだ。乳児の発達をみる上では体重が指標となるが、それを左右する重要な要素と言えるのが授乳量だ。妻曰く「 ビジネスで言うところの『KGI』(Key Goal Indicator=目標達成できているか定量的に評価できる指標)が体重で、『KSF』(Key Success Factor=成功するための要因)が授乳量と言える」。

我が家では授乳量を定量的かつ継続的に記録することした。妻が「もし飲む量がどう推移しているか具体的にわかっていれば、例えば体重が増えていない場合、そもそも飲む量が少ないのいか、それともしっかり飲んでいるのに体重が伸びていないのか、切り分けて考えることができる」と判断したためだ。つまり授乳量を定量的に把握していれば、何かあったときに原因を考え、対処する選択肢がなにか判断しやすくなるわけだ。

母乳は搾乳して計測

データは継続的に続けられ、かつ感覚に頼らない方法で集めるのが望ましい。ミルクは哺乳瓶で量が計測できるため、基本的にはそれを記録するだけで済む。問題は母乳を飲んだ時である。「このくらいの時間飲んだらこのくらいの量を飲んだと見なす」 という説明も聞いたことがあるが、飲むスピードは赤ちゃんによって相当な違いがあるのではないか 。また生後間もない赤ちゃんは満腹中枢が未発達であり「 赤ちゃんが満足するまで」というような目安も成り立たないのではないか。

f:id:tnkdad:20190417094112p:plain具体的な変化を数字で把握する方法としては、母乳を飲む前後で赤ちゃんの体重変化を比べる手もある。我が家でも息子の体重変化を把握するために赤ちゃん体重計を導入したが、毎回息子を乗せて測るのは手間がかかる。さらに体重計の上で息子も動くので、本当に正確に測れているのかも怪しい。実家の母からは、自分が赤ちゃんの時に母乳を飲む前後で体重を測って記録をつけたと聞いたが大変だったのだと思う。

そこで妻が考えた解決策は、母乳も搾乳機でしぼって量をはかってから、息子にあげることだった。これならば定量データとして記録できるし、ミルクとあわせて量を調整することもできる。夫である自分も量を確認しながら授乳できる。授乳の場所も決めて、それを習慣化する上でも適当な判断だと思った。

飲む量把握をリスク管理につなげる

子どもによって飲む量には個体差もある。妻曰く「息子が飲みがいいのか、悪いのかを判断するには、 一般的な目安と比べるだけではなく、息子の実際に飲む量がどう変動しているのか継続的に把握する必要がある」。我が家では息子が飲んだ量と時間を育児アプリで継続的に記録し、夫婦で共有することにした。たとえば生後2カ月の時点では、 その月齢の目安としてミルク缶には800mlと書いてあるが、息子は基本的に640-670mlを飲むことが多かった。息子はおおむね1日にミルクの缶に書いてある目安量の8割程度を 飲む傾向がつかめ、体重の増加も平均的に推移した。

妻は「定量データをとったら、基準外の時にどうするかを決めておくのがリスク管理の手法だ」とも指摘していた。健診の際に妻が出産した病院の医師に哺乳量や体重の具体的な数値も示しつつ話したところ、医師曰く「500mlとか550mlと れていれば体重の伸びには影響しないだろう」とのこと。息子の飲む量の推移は把握できるようにしたので、予測される範囲から「外れ値」 が3日続くようなら医師に相談するという対処方針を決めた。「外れ値」がでたら「すぐ」としなかったのは、1日だけ外れ値がでても単に「飲みムラ」である可能性も高く、直ちに健康や発達に影響するわけではないと考えられるからだ。

妻はプロジェクトマネジメントにおいても定量的な指標で監視コントロールする方法を使う」と言っていた。例えばプロジェクトのミスの発生率をトラッキングしていると、そのチームや作業の内容から予測したパフォーマンスに比べミスの 発生率が低くなっていれば「 気付いていないミスが隠れているのではないか」、もしくは「ミスを隠している例があるのではないか」と考えることができる。データを継続的にみているから、問題を見つけ出し、対処することができるわけだ。息子の発育や健康状態に問題がないか、授乳量をトラッキングすることで見つけやすくするのと相通ずるところがある。

三者に説明もしやすく

定量的に授乳量を把握していると他の人への説明もしやすくなる。通院したときには「800ml飲んでいたのが、昨日は500ml だった」などと医師に具体的に説明できる。「どうも飲みが悪いようで」と伝えるより医師も判断しやすいだろう。医師からは「その量が続くようならまた来て下さい」といった具合に具体的な説明が返ってきた。また保育サービスで預ける上で、いつもはこの水準ですと明確に説明ができ、きょうはそれに比べどうだったかという観点で観察して頂けた。

いまは育児においてもデータを記録するツールが充実している。「データドリブン育児」の可能性はまだまだあると感じている。